ご相談例

自殺企図高次機能障害 うつ病

ご相談例

自殺企図高次機能障害 うつ病 30代男性

訪問開始前

ヘルパーの資格で働いていましたが、仕事や対人関係の悩みから20代前半からひきこもりとなり、27歳の時に練炭自殺を図りました。
3か月の意識不明状態を経て回復し、リハビリを経て退院しています。
しかし、意識不明の状態の際に、大切にしていた車を家族に処分されてしまいました。
その結果、家族を恨み完全緘黙(かんもく・無言、だまるの意)となりました。
日常的な家族や他者との会話は全くなく、引き篭もって昼夜なくパソコンゲームに興じる日々でした。

訪問開始後

訪問開始後は、平行して障害年金申請の為の助言や代行を行い、初診日から一年半を経て年金申請を行い受給に至りました。

訪問は曜日、時間を正確に繰り返し、1分の遅刻もなく定型化していきました。当初は完全緘黙の中、本人のしているゲームをただ一緒に眺めるだけの場面共有を1年以上繰り返し継続しました。
1年以上経過し、訪問時に本人から缶コーヒーを差し出され、一緒に飲み「ありがとう」とお礼を伝えたところから「いいよ。コーヒーくらい」とほんの少しからの会話が始まりました。
会話が深まるにつれ過去大切にしていた車の話、好きなゲームの話、人間関係で失敗したと感じて何もかもが嫌になった話など、心情を吐露する場面も増えていきました。
本人の表現を評価なく傾聴し、選択肢の1つとして「可能な範囲で車を購入してみては?」と提案しています。
当時は気にも留めていなかった様子でしたが、訪問2年が過ぎたころから「車を買いたい」「車を維持するために働きたい」との表現が始まりました。

その後

仕事から離れて10年近くたつため、ハローワークへの外出を促し、情報収集を一緒に繰り返しました。
その中で仕事へのイメージ作りを繰り返しました。
半年ほど繰り返しハローワークに通いましたが、その時は就労には至りませんでした。
本人も就労に至らない自分を嘆きましたが、行動できた事を支持し、次の機会を待ちました。

訪問3年目が過ぎ、本人より「車を買いたい」と申し出がありました。
本人の希望を支持し、心配する家族とも話し合いながら、本人の選択・決定を支持しました。
訪問時間外でしたが、何度か一緒に中古車屋に出向き一緒に車を探し、気に入った車を購入しました。
以後すぐに本人からハローワークに出向き、就職を決め、10年ぶりに数日就労しています。
結果「人間関係が上手くいかない」と数日で退職しましたが、現在は行動を支持して強化する事で、ジョイント職員から提案された障害枠での就労や、A/B型の作業所への参加を検討しているところです。